【リトル・ホープ】2週目が楽しくなる!考察(真相・詳細説明)※ネタバレあり【Little Hope】
この記事は完全なネタバレとなっています。未プレイでゲーム内容の真相を知ってしまうと、著しく本来のプレイする楽しみを阻害してしまいます。攻略情報ではないので、最低でも1度は本編クリア後にご覧になることを強く推奨します。
また、管理人が周回プレイやトロフィー獲得における過程、クリア後の特典映像やネット上での魔女裁判などの情報を基に、個人的に導き出した結論の為、公式とは一切関係ありません。
本編を1度クリアする程度ではなかなか紐解けない、リトル・ホープの過去や魔女裁判との因果関係、どうしてこうなったのか、など個人的な見解ですが少しでも魅力を伝えることができればと思います。
登場人物
現実 | 2020年 | 1972年 | 1692年 | ||||||||
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現実 | 2020年 | 1972年 | 1692年 |
アンソニー
アンソニー・クラーク
アンドリュー、エイブラハムと繋がっている人物。
唯一、魔女裁判で処刑されていない。
1972年の火事で家族を全員失って以来、精神疾患を患い通院中。
バスの運転手として生計を立てている。
リトル・ホープ方面へ迂回する途中、女の子の幻覚を見て横転事故を起こす。
大学生のアンドリューとして、大学ゼミのメンバーとリトル・ホープへと迷い込んだという幻覚の一連の出来事が、このゲームのストーリーとなっている。
アンドリュー
大学生でゼミの校外学習へ向かう途中、バスの事故に遭う。
アンソニーが幻覚で創り出したもう一人の自分。
アンソニー(1972年)
アンソニー・クラーク
若かりし頃のアンソニー。クラーク家の次男で、家族で唯一妹のメーガンのことを気にかけている。
家が火事になった際、一人だけ生き残り、手にマッチ箱を持っていたことから疑われてしまい警察に拘留される。
しかし、のちに無実として釈放される。
自分が点けたコンロの火が火災原因だと思い、家族を失ったのは自分のせいだと罪悪感に包まれていく中、精神疾患を患う。
エイブラハム
エイブラハム・アラスター
魔女裁判でのメアリーの不穏な行動を目撃し、ワイマン判事に打ち明けるかどうかのはざまで揺れ動く正義感の強い青年。
デイビッドの死後はメアリーの後見人として生活を共にするが、のちにメアリーの後見人はカーヴァーへと移る。
メアリーが裁判にかけられた際、アンドリューたちにアドバイスを求め、その選択肢によってメアリーの運命が決まる。
女の子
メーガン、メアリーと繋がっている人物。
リトルホープに迷い込んだアンドリューたちの前に度々現れる謎の女の子。
危害を加える様子はなく、導いているかのようにも思える。
メーガン
メーガン・クラーク
クラーク家の次女で末っ子。
精神疾患を患っていて、幻覚症状を起こすことがある。学校や教会での態度に問題があり、急に暴力的になったりと、両親であるジェームズとアンは頭を悩ませている。
カーソン牧師に相談し、躾を手伝ってもらっているが、メーガンはカーソンに対して良い印象を抱いていない。
アンドリューがコンロに火をつけた後、横に人形を置くことで家事を引き起こす。
家族が構ってくれない中、兄のアンドリューだけは心配してくれている。
メアリー
メアリー・ミルトン
1692年の魔女裁判において、彼女の証言が次々と犠牲者を出してしまう。
カーヴァー牧師に脅され利用されているが、最後はカーヴァーに魔女として仕立て上げられ、裁判にかけられる。
カーヴァーに詰め寄られた際に、「エイミーの姿をした悪魔を見た」と言ったり、タバサに取り上げられたポペットをタバサの物だと嘘をついたり、その場凌ぎの発言が結果として魔女裁判に大きく影響してしまう。
エイブラハムの「姉のタバサが処刑されたときにメアリーは笑っていた」という証言から、彼女もまた精神を病んでいたのかもしれない。
デイビッド、タバサの妹。
2人の死後はエイブラハムが後見人となり引き取られるも、のちにカーヴァー牧師が後見人となる。
ジョン
ジェームズ、ジョセフと繋がっている。「圧死」という呪縛から逃れられない。
アンソニーが幻覚で創り出した人物で、大学教授で今回の校外学習の引率者。
プライドは高いが、何かと逃げる癖がありゼミの学生からは信頼が薄い。アンジェラには完全にナメられている。
なんだかんだで、エンディングまでは生き残るタフマン。
ジェームズ
ジェームズ・クラーク
クラーク家の長でアンの夫。
長女ターニャ、長男デニス、次男アンソニー、次女メーガンの6人家族。
カーヴァー家が経営するレイブンデン工場に勤務している。仕事と家庭のストレスから酒におぼれる毎日を送っているが、職場では人望が厚く慕われていた。ヴィンセントも同じ工場で働いている。
家の火事により、天井の崩落に巻き込まれ圧死する。
ジョセフ
ジョセフ・ランバート
エイミーの夫。
所持している土地を接収され、カーヴァーに譲るという令状から始まった裁判が、魔女裁判へと発展する。
メアリーの証言から「エイミーが悪魔と取引をして、魔術を行っている」という噂が流れ告発される。これがリトル・ホープにおける最初の魔女裁判となる。
エイミーの処刑後、「ジョセフが悪魔のしもべでエイミーを取り込もうとした」という理由から裁判にかけられ有罪となり、石を次々と体の上に載せられて圧死する。
アンジェラ
アン、エイミーと繋がっている。「溺死・窒息死」から逃れられない。
アンソニーが幻覚で創り出した人物で、社会人学生。
ジョンのことを見下し、テイラーのことをやたらと嫌う。
最初の犠牲者になり得る。
アン
アン・クラーク
クラーク家のジェームズの妻であり、アンソニーたちの母親。
次女メーガンのことで度々ジェームズと喧嘩する。
躾に関する本を読んだり、カーソン牧師に相談したりと、家庭をなんとか守ろうとしている。
デニスには厳しい。
メアリーが風呂場に閉じ込めた後、火事によって煙に包まれ窒息死する。
エイミー
エイミー・ランバート
ジョセフの妻。
「森でエイミーの形をした悪魔を見た」というメアリーの証言によって、魔女として有罪判決を受けたのち、身体を鎖で縛られて湖に突き落とされ溺死する。
リトル・ホープにおける最初の魔女裁判となった。
突然苦しみ出すメアリーに、エイミーが触れるとその発作がおさまり、エイミーが魔女であるとし有罪に。これはカーヴァー牧師がメアリーを利用した計画である。
この時の様子は、実際に行われたセイラム魔女裁判のオマージュとなっている。
事の発端となったのは、夫婦たちの所有する土地が接収されカーヴァーに譲るという令状から始まった別の裁判。この裁判で2人を邪魔に思ったカーヴァーはメアリーを利用し、エイミーの魔女裁判を行った。
ダニエル
デニス、デイビッドと繋がっている。「刺創死」から逃れられない。
アンソニーが幻覚で創り出した人物で、大学生。テイラーの恋人でお金持ち。
2人の仲を公表しないテイラーにやや不満を感じている。
メアリーのことを悪意があると疑っている。
レイブンデン工場まではどうやっても生き延びる。
デニス
デニス・クラーク
クラーク家の長男。
バンド活動をしており、レコード集めが趣味。母親とは喧嘩をよくする。
妹のメーガンをなにかと庇う弟アンドリューのことが気に入らない。
姉のターニャと付き合っているヴィンセントのことを良く思っていない。
火事によって、屋根裏から外へ逃げ出すも、足を滑らし、柵に突き刺さって死亡してしまう。
デイビッド
デイビッド・ミルトン
タバサとメアリーと兄妹。
姉のタバサが処刑されたのち、デイビッドも同様にメアリーの証言から告発される。
しかし、処刑される直前までメアリーのことを心配し、自分の最期の姿は見ないようにと兄として妹を案じていた。
テイラー
ターニャ、タバサと繋がっている。「首吊死」「焼死」から逃れられない。
アンソニーが幻覚で創り出した人物で、大学生。ダニエルの恋人だが、まだ2人の仲を公表したくない。
ジョンとよく意見が割れる。
悪魔に襲われる頻度がやたらと高い。
1856年に不可解な死を遂げたティリー・ジョンソンという作家が名前だけ登場する。
テイラーにそっくりな像から、ターニャの次の生まれ変わりであると考えられる。
ターニャ
ターニャ・クラーク
クラーク家の長女。
父ジェームズと同じレイブンデン工場に勤務している青年ヴィンセントと付き合っている。
彼の影響を受けて、オカルトに興味を持ち始める。それぞれ女性、男性を表す月の形をした工芸品と太陽のチャームをお揃いで持っていた。
妹メーガンのことを気にかけるも、どこか恐怖のようなものをメーガンに対して抱いている素振りを見せる。
火事の際には、メーガンにバルコニーに締め出され、窓から屋内へ戻ると焼死、排水管を伝って降りようとすると首吊死となり、最期を迎える。
この時の死に方によって、本編で現れるターニャの悪魔の風貌が変化する。
彼女の死後、数十年経った現在でも彼女の墓に供えられている花は、恋人のヴィンセントによるものである。
タバサ
タバサ・ミルトン
デイビッドとメアリーの姉。
町中が悪魔や魔術に敏感になっていることから、メアリーが持っていた人形をメアリーの身を案じて没収したところ、メアリーの反感を買い、魔女裁判において有罪判決を受け処刑されてしまう。
ヴィンセント
ヴィンセント・バーンズ
ターニャ・クラークの恋人。
アンソニーとは知り合い。
1972年の火事によって、恋人のターニャ・クラークが死んで以降、思い出に縛られ時間が止まっている。
火事から数十年経った今でも、ゴーストタウンとなったリトル・ホープのバーで一人飲みながら思いに耽っている。ターニャのお墓には彼が今もなお、花を供え彼女のことを想い続けている。
長い間、自責の念と後悔に縛られたアンソニーが幻覚を見ながらリトル・ホープに現れ、自分と同じように時間が止まったままの彼を目の当たりにし、アンソニーのことを許すことに。
彼の自転車を押して歩く姿は必見。
ヴィンセント(1972年)
ヴィンセント・バーンズ
1972年の火事で恋人のターニャを失って以降、勤務するレイブンデン工場での勤務態度が悪くなり戒告書を出されている。
火事の原因として警察に拘留されたアンドリューのことを憎み、無実として釈放されたあとでもその気持ちは変わっていない。
その強い思いから、アンソニーが釈放された新聞記事の切り抜きには「地獄の業火に焼かれよ」と殴り書きをしている。
カーヴァー牧師
サイモン・カーヴァー
リトル・ホープにおける魔女裁判を引き起こした張本人。
1688年から4年間牧師を務めていたが、1690年のウィリアム王戦争で身内のマデリーン・カーヴァーを失ったことがきっかけで、オカルトにハマったとされる。
以降、自分にとって目障り・不利益な人間はメアリーを利用して嘘の証言に基づいて告発、処刑していた。
そのきっかけとなったのが、ジョセフ・ランバートの土地をカーヴァーに譲渡するという令状から始まった裁判。
エイミーとジョセフを悪魔の使いとして、メアリーを利用し有罪判決後、処刑する。
彼の持つ聖書には黒魔術や悪魔などの暗号で埋め尽くされていて、それが証拠となり、最後は自身が裁かれることに。
ちなみに彼のこの聖書は1970年代に教会から再び発見される。
カーソン牧師
レオナルド・カーソン
聖書によって町を主導していた彼が、オカルトにのめり込み、その信仰を住民にまで広めようとし、様々な問題を引き起こし、警察に逮捕される。
オカルトの危険性は教区通信でも注意が促されており、当時の人々にとって悪魔や魔術といったものは古くから根付いていて、影響力があるとされている。
クラーク夫妻からメーガンのことで相談を受け、躾を手伝っていた。
もしかすると、メーガンが精神を病んでいたとわかったカーソンは、躾を手伝う名目でオカルトを吹き込み、クラーク家の火事を引き起こさせたのかもしれない。
あの時、メーガンの傍にいた悪魔の影はカーソン牧師を表しているのかもしれない。
ワイマン判事
1692年のリトル・ホープの裁判で、カーヴァーの言葉に従うかのように、次々と有罪判決を下してきた判事。
メアリーの裁判においては、エイブラハムの言葉からカーヴァーのオカルト信仰を暴き、これまでの裁判についても調査するよう手紙を書いている。
裁判において、子供であるメアリーの証言をあまりにも信じ過ぎたことに対して、後悔と反省を示した文章も見つかっている。
彼もまたカーヴァーに利用された一人であるとも言える。
通行人
1972年火事の現場を通りかかり、火の海へ飛び込むアンソニーを制止しようとした男性。
その時アンソニーがマッチ箱を持っていたということから、アンソニーは警察に拘留される。
アイザック
アイザック・ウォレル
1692年のリトル・ホープの魔女裁判において、有罪となった者を処刑する執行人。
カーヴァーの言葉に動揺する様子を見せることもあるが、自身の仕事を遂行する。
彼にとって、悪魔とされる者をこの町から排除することが正義であったのではないだろうか。
警察官
現実世界でアンソニーが運転するバスを迂回するよう話しかけてきた警察官。
乗客がいないのに、あたかも運行中のようなこと言うアンソニーにやや不思議がっていた。
本編でヴィンセントを怒らせていると、ヴィンセントの通報によってアンソニーの元へ駆けつけ彼を逮捕する。
ゲーム概要詳細・考察
本作、リトルホープはバスの事故に巻き込まれた5人の大学生らが霧に包まれた「リトル・ホープ」という町に閉じ込められ、そこで恐ろしい体験をしながら脱出するというものです。
リトル・ホープはニューイングランドのマサチューセッツ州に位置し、1690年代に魔女裁判が行われた過去があります。
※有名なのはセイラムの魔女裁判で200名近い村人が魔女として告発され、19名が刑死、1名が拷問中に圧死、2人の乳児を含む5名が獄死した。(これは現実の話です)
恐ろしい体験の発端となったのは、このリトル・ホープの魔女裁判においてメアリーという女の子が無実を訴えるも、当時の牧師カーヴァーによって強引に罪を擦り付けられ、火炙りの刑に処されたことに起因します。
このメアリーの強い無念の思いが、アンドリューたち(実際にはアンソニー)に生まれ変わりながらも助けを求め続けていたと言えます。
村人たちを魔女として仕立て上げて有罪にすることに加担したのは、カーヴァーに脅されてやったことだと、子供のメアリーは誰かに気付いてほしかった、助けてほしかった、という一心であったと思います。
裁判の有罪判決に加担した以上、子供とはいえ全くの無実ではないですが、アンドリュー(アンソニー)はメアリーを庇い、黒幕であるカーヴァー牧師を告発することでリトル・ホープにおける魔女裁判と、魂を縛られた人々の逃れられない運命に終止符を打ちました。
カーヴァーに利用されていたことを明らかにしてもらい、魔女裁判で処刑されずに済んだメアリーの魂はこうして救われました。(トロフィー「容赦」)
エンディング後、真相が明かされます。
アンドリューたちは実はアンソニーが作り出した幻覚の中での人物で、実在しないこと。プロローグでアンソニーはバスの回送運転をしていましたが、本人は乗客を乗せて走っているつもりでした。
リトル・ホープ付近ということもあって、事故のショックとメアリーの強い念とで生み出された幻覚世界が、今までの生まれ変わりではなし得なかった過去への介入とメアリーの救済を可能にしたのでしょう。
ダニエルやテイラーなど、魂を縛られた人物に似ているのもこれで説明が付きます。
精神疾患を患い、幻覚を見ながら荒廃したリトル・ホープを一人彷徨うアンソニー。そんな彼の姿を数十年ぶり(※1)に見たヴィンセントは、アンソニーの中で時間が進んでいないこと、あの時の火事のことでずっと自分自身を責め続けていることを感じ取り、エンディングで「本当にすまない」と和解しています。(トロフィー「内に秘めた力」)
「お前は悪くない」という言葉によって、ずっと自分を責め続け、後悔の念に駆られていたアンソニーは救われたと言えます。
おそらく、アンソニーとヴィンセントは長い間会ってなく、その間にヴィンセントの中でももう許そうという気持ちになったのでしょう。
そんな折、自分と同じように過去に執着するアンソニーを見かけたので、「もうここには戻ってくるな」という言葉をかけ、アンソニーを過去の呪縛から解き放とうとします。
※1 エンディングでのヴィンセントの言葉の中で「この何年か、俺達2人とも酷い目に逢ってきた」と訳されていて、2人が会っていなかったのは実際はもっと短い期間だったかもしれませんが、1972年のクラーク家の火事の後から2人の確執は始まったと考えられるので、数十年ぶりだと思われます。
時系列
魔女裁判
1690年6月23日 リトル・ホープ
卒業式の日、清教徒が街の若者たちを祝う中、フランスとインディアンの軍隊が襲撃し、家屋を焼き払い、8人の男性が殺害され、多くの女性と子供がアカディアで奴隷にされた。
そしてその後のことについては知られていない(秘密「卒業式の虐殺」より)
その中にマデリーン・カーヴァーという名も刻まれていて、ゲーム内で詳細は語られていないものの、カーヴァー牧師の姉妹もしくは母親であったのではないかと推測されますが、彼女を失ったことがきっかけでオカルトに転向したのだろうかという説明文があります。
教会の資料によると、カーヴァーは1688~1692年の4年間牧師を務めていて、1690年までの2年間は真面目に牧師の役目を果たし、1690年の事件をきっかけに歯車が狂っていったのでしょう。
そして、オカルトにのめり込んだカーヴァーは牧師という立場から、リトル・ホープの人々に魔女や魔術といったものを信じ込ませ、裁判にまで持ち込みました。
そのきっかけとなった裁判が、ジョセフ・ランバートの土地を接収しカーヴァー牧師に譲渡するという令状を基に争議から魔女裁判へと発展したものです。
このように、カーヴァーは自分にとって不利益になる人を魔女や悪魔として処刑することで、自分の地位や名誉を誇示するとともに、人の運命を自分が握るという行為に快感をおぼえていき、悪だとわかっていてもそこから抜け出すことはできませんでした。(映像特典より)
そして、その魔女裁判を有利に運ぶために、メアリーを脅迫して利用していました。
エイミーがカーヴァーの庇護下に入ったことに嫉妬からか非難したり、ポペットを持っていると魔女や魔術を疑われるからと没収したタバサのことを良く思わなかったりと、子供なりの反抗心から、つい嘘の証言をしてしまったのではないかと思われます。(そこをうまく利用したカーヴァーが悪いのですが。)
その結果、エイミー、ジョセフ、タバサ、デイビッドが魔女裁判で理不尽にも処刑されてしまいました。
エイミーが裁判にかけられた際に、「エイミーの形をした悪魔を見た」というメアリーの証言を「霊的証拠」としてカーヴァーが認めたことからも、オカルトが当時の人々に信じられていることが窺えます。
豆知識・補足
現在のアメリカ合衆国ニューイングランド地方のマサチューセッツ州セイラム村で、1692年から始まった実際に行われたセイラム魔女裁判において、証人として召喚された少女の名前はメアリー・ウォルコット。
1876年に描かれたとされる魔女裁判の絵にて、倒れ苦しんでいるのがメアリー・ウォルコットです。
そう、この構図はエイミーが裁判にかけられたときに、倒れ込んで苦しむフリをしていたメアリーそのものです。
こういう部分にオマージュを入れてくるあたり、開発陣のニクイ演出ですね。
その後、カーヴァー牧師の言う通り、エイミーが触れるとメアリーはもがくのをやめて気を失ったフリをしますが、このことはメアリーが苦しみ始める前に、カーヴァーが目配せしてメアリーもそれに応えるかのような素振りをしていることから演技であるとわかります。
ちなみにこれがゲーム本編で出てくる法廷画。特に手を加えらることなく、実際の絵が使用されています。(リトル・ホープ博物館 秘密「法廷画」)
魂を縛られた人々
魔術のようなオカルトによって、死に至らしめられたものはそこから逃れることはできないとされています。当時、本当にカーヴァー牧師によってそのオカルト的な力が作用したかどうかは分かりませんが、この魔女裁判において処刑されたメンバーが生まれ変わってもなお同じような死に方で息絶えていることから、その可能性はあるかもしれません。
ジョセフ、ジェームズ、ジョン ⇒ 圧死
エイミー、アン、アンジェラ ⇒ 窒息死
タバサ、ターニャ、(テイリー)、テイラー ⇒ 焼死または首吊死
デイビッド、デニス、ダニエル ⇒ 刺創死
メアリー、メーガン ⇒ 焼死
彼らは生まれ変わるたび、同じような死に方をしてその一生を終えます。
(特典映像より)
1970年代
暗い過去をもつリトル・ホープですが、1970年代になってもまだその名残が見えます。
サイモン・カーヴァーの生まれ変わりである、レオナルド・カーソン牧師も聖書を利用して町を主導していましたが、同様にオカルトへ没頭し、のちに逮捕されています。
当時の教区通信に、10代の子供たちがオカルトに誘惑されていることを危惧していること、教会の牧師館の板石の下から念入りに隠された1600年代の写本が発見されたことが書かれています。
その写本は、魔術の言葉や呪文が走り書きで埋め尽くされていたということから、カーヴァー牧師の持ち物に間違いないでしょう。
他にも、1600年代の聖職者が魔術や悪魔学に手を染めた結果、入植者には暗黒の時代になったこと、時代は変わってもオカルトや神への不従順に陥る危険があることが教区通信には書かれていて、オカルトへ走ったカーソン牧師には子供たちの親からクレームがあったようです。
魔女裁判においてジョセフから土地を譲渡されたカーヴァー家がこの時代にレイブンデン工場という繊維工場を経営していました。
ちなみにこの時のカーヴァー家は、牧師であるサイモン・カーヴァーの生まれ変わりなどではなく、ヘーゼル・カーヴァーという名の経営者。当時の町長はサミュエル・カーヴァーということもあり、リトル・ホープではカーヴァー一族が権力者であったことがわかります。
しかし、カーヴァー家はこの土地を売るため、工場閉鎖を発表します。当然ほとんどの従業員がリトル・ホープの住民だったため、労働組合との話し合いや抗議活動が行われましたが、住民の声もむなしく1973年に閉鎖となります。
その結果、生活を支えていた工場の閉鎖によって他へ移ることを余儀なくされた住民たちは次々と離れていき、リトル・ホープは今のようなゴーストタウンへとなったのです。
プロローグでバスが横転した後に移った次のシーンのクラーク家の火事が1972年なので、当時はまだリトル・ホープには活気があったことでしょう。
それを受けて、ジェームズがアンとケンカしていた時に「何人かクビになりそうな噂がある」といったことを話していたのです。
クラーク家
父:ジェームズ
母:アン
長女:ターニャ
長男:デニス
次男:アンソニー
次女:メーガン
の6人家族
ジェームズとアンの口論の際、ジェームズが「本当の子だったら、こんなことにはなってないだろうな」と言っていますが、あれはメーガンが連れ子もしくは養子なのか、単に皮肉でそう言ったのかはわかりませんが、メーガンが問題児だったことが窺えます。
メーガンは晩年のアンソニーのように精神疾患にあったと思えます。
急に暴力的になったり、見えないものと会話をしたりすることを不安視し、アンとジェームズはカーソン牧師に相談しています。
その結果、反抗的な態度は異常ではないという結論から、道徳的な指導が必要であると躾に協力していました。
メーガンの描いたと思われる絵からは、カーソン牧師に対して恐怖心を抱いていたことが分かります。
メーガンがターニャとアンソニーを外に締め出し、アンとデニスを閉じ込め、家を燃やし家族の命を奪った経緯も、幻覚症状だけでなくカーソン牧師との間に何かあったのかも知れません。
燃えていく家を前にただ呆然とするアンソニーの手にはキッチンでコンロに火をつけるために使ったマッチ箱が。
通行人に声を掛けられるも、まだ中にいるアンを助けようと日の中へ飛び込んでいきます。
警察に一時拘留されることになりましたが、無罪として釈放されます。
その間、留置所内で救えなかったメーガンのことを想い、粗末な人形を作っていました。
ターニャとヴィンセント
このゲームにおいてキーパーソンの一人となるヴィンセント。
ターニャとヴィンセントは付き合っていました。
ニューエイジとも呼ばれ、デニスはヴィンセントのことを良く思っていないようでしたが、アンソニーは会ったことがあり彼のことを「いいやつだ」と言っています。(ターニャを家まで送り届けた際、玄関でアンソニーとヴィンセントは手を挙げ軽く挨拶を交わしています)
ヴィンセントはレイブンデン工場で働いており、ターニャの父であるジェームズと同じ職場でもありました。
ヴィンセントの影響か、ターニャも魔術や儀式といったオカルトに興味を持っていました。「現代の魔術と儀式」という名の本にはTC(ターニャ・クラーク)のイニシャルが。
この本では太陽は男性的な魔法の象徴、月は女性的な魔法の象徴とされていて、警察署にあったヒッピーのガラクタと貼ってある箱の中の月の工芸品の裏側にもTCのイニシャルがあります。
同様に、リトル・ホープ墓地のベンチに落ちていた太陽のチャームと、チャプター「重荷」で工場を出たあとにある古い車のボンネットに書いてある太陽は同じものです。
これらはヴィンセントの持ち物。
車のトランクには、当時アンソニーが警察から釈放された記事の新聞の切り抜きが入っていて、「地獄の業火に焼かれよ」と書かれてあるように、ターニャが死んだのはアンソニーのせいだと思い、ヴィンセントが恨んでいたことがわかります。
また、リトル・ホープ墓地のクラーク家の墓の真ん中にあるターニャの墓に綺麗な花が添えられていることから、老いたヴィンセントが今でもターニャのことを想い続け、お墓参りをしたり、誰もいないバーで一人、物思いにふけっている様子が分かります。
クラーク家の火事が起きたのは1972年の1月16日で、4か月後の1972年5月8日にレイブンデン工場からヴィンセントに対して戒告書が出されています。サボりや遅刻、泥酔など今まで大目に見てきたが12か月以内に問題を起こすと解雇するというもの。
ターニャを失ってからヴィンセントは素行が悪くなったようです。
これらのことから、ヴィンセントがどれだけターニャのことを愛していたのかが伝わります。アンソニーのことを恨んだとしても仕方のないことでしょう。
2020年現在
アンソニーは精神疾患を患っていて、定期的に病院で診てもらっている生活を送っています。しばらく病院に顔を出さなかったことで、心配して医者がアンソニーのもとを訪れることから症状も軽いものではなかったことが分かります。(特典映像より)
あの火事を引き起こしたのが、自分がキッチンでコンロに火をかけたことが原因だと思っているため、ずっと後悔と自責の念を胸に周りとの関係を断ちながら細々と暮らしていた様子。
横転したバスの運転席付近に「異端信仰の歴史の本」が落ちていることから、アンソニーの持ち物だと推測でき、彼が魔術や悪魔といったオカルトに興味を持っていたことが分かります。(もともとリトル・ホープが魔女裁判やオカルト文化が強い土地だったため、自然なことですが)
振り返ってみて
簡単な考察はすでに述べたので、ここからは順を追って、あの時のあれは何だったのか?ということに触れていきます。すべてのことには突っ込みませんが、管理人が疑問に思ったり、納得したことをメモ書き程度に…。
バス
幻覚を見ているアンソニーには、乗客を乗せて目的地へ向かっているつもりですが、実際はバスの回送で車庫に戻るところだったのではと考えられます。
その先で通行できず、迂回を余儀なくされることになりますが、この時に話しかけてきた警察官は1692年のアイザックの生まれ変わりと考えられます。のちのエンディングによってはアンソニーを逮捕しに駆け付けるのもこの人です。
アイザックは処刑人としてエイミーを鎖で縛り湖へ突き落したり、ジョセフに石を乗せたり、デイビッドを突き落したりと、カーヴァーの指示とはいえ彼も罪の意識に苛まれたことでしょう。
バスが横転事故を起こすきっかけとなった、突如目の前に現れた女の子。
メアリー、メーガンと繋がる女の子で、アンソニーが生み出したアンドリューたちと同じ時系列の存在であると思われます。
最初、この子はヴィンセントと同じで、「現実」のリトル・ホープに存在する人物かとも考えました。
しかし、まだ幼い女の子が夜中に荒廃した町をうろうろしているのはさすがに現実味がないので、アンソニーの創造であると結論付けました。
また、その根拠づけとして、リトル・ホープ公園でダニエルとテイラーに遭遇した際、土管に隠れる女の子に手を差し伸べるシーン。もし、女の子が実在するのであればヴィンセント同様、アンソニーが創り出したダニエルたちの姿は見えないはずです。
クラーク家の火事
火事が起こり、アンソニー以外が死んでしまいます。
ここで、アンドリューたちとそっくりな人物が存在すること、それぞれの死因によって命を落とすことで、一人一人のキャラクターが別の時代にも存在し、最後は同じように命を落とす呪われた運命に縛られている、ということが徐々にわかってくるための伏線となっています。
火事を起こした理由として、メーガンは精神疾患による幻覚症状によるものだと考えられますが、躾を手伝っていたカーソン牧師が何かを吹き込んだという可能性もありますが詳細はわかりません。
カーソン牧師がクラーク家に対して、恨みを抱いているようなことは何も記述がありませんでした。
可能性があるとすれば、元々聖職者として熱心だったことと、オカルトにハマってしまったことで、メーガンの躾の延長として、悪い行いを「浄化する」という行き過ぎた意味合いで、火事を焚き付けたとも考えられますが…
ちなみにクラーク家の葬儀を執り行ったのがカーソン牧師です。
バー「ブラックキャット」
第一村人発見としてヴィンセントに会うバー。
最初プレイしていて感じた違和感、ジョンがヴィンセントに話しかけてるのに、やたらとアンドリューが被せるように割って入ってくるなぁと思っていました。
それもそのはず、アンドリュー以外のジョン達はアンソニーが生み出した創造の人物なので、ヴィンセントには見えていないということです。
これはエンディング後に辻褄が合うようにされていたんですね。
ちなみに、ジョンがダーツを3本飛ばしたあとは、誰もダーツをしていません。そしてこの時3本のダーツはバラバラの位置に刺さっています。
ですが、バーを出たあと、ヴィンセントがダーツボードから3本回収する時はすべてど真ん中に刺さっていました。これも暗にジョン達は存在しないというヒントだったんですね。
ただ、勘のいい人はこの時点でヴィンセントが、クラーク家の葬儀に参列していた黒人の男性だと気付いたと思います。(私はエンディングで話しかけてきたヴィンセントを見て気付きました…遅っ)
導く女の子と付きまとう悪魔
本編では、度々女の子が現れてアンドリューたちを導いていきます。
この女の子はメアリー、メーガンと繋がる生まれ変わりの女の子(アンソニーの創造上ですが)で、唯一名前も分からず、会話も出来ません。
そして、悪魔たち。
それぞれの悪魔が出現しますが、アンドリューのみ悪魔が現れません。
これは1692年において、エイブラハムが魔女裁判での犠牲者となっていないことが理由です。
どこまでオカルト的な力が作用しているかは分かりませんが、魔術や呪いによって殺されたものは生まれ変わってもその呪縛から逃れることは出来ないとされています。そして、その矛先は殺した者ではなく殺された自身に。
普通に考えて、カーヴァー牧師によって処刑されたのであればその恨みの矛先はカーヴァーに向きそうですが、魔術ではそうはいきません。悪魔となった己自身に襲われるのです。
その証拠に、壊れた橋の下でエイミーの悪魔が現れた時、ジョンとアンジェラ2人いましたが、アンジェラにしか襲っていきませんでした。
同様に、ダニエルが工場で床下に落ちた際、アンドリューも落ちていた場合でも悪魔はダニエルしか狙いませんでした。
これはテイラーやジョンの悪魔にも同じことが言えます。
それぞれの人物が「救われた」というトロフィーの内容が示すように、各々の内なる悪魔と対峙し、向き合って逃げずに戦うことで初めて魂が解放されることを意味しています。
自分の悪魔に襲われたときに、仲間に助けを乞わず「自分のことは良いから逃げて」という行動を起こすことで獲得条件を満たすこと、逆に助けを乞うと最後の廃屋で自分の悪魔に殺されることからも間違いないと思います。
ただ、アンジェラだけは特殊で、ジョンを見捨てずに「待つ」ことが生存フラグのトリガー、魂の解放になりましたが…。(このせいで廃屋で全員死亡したのにトロフィー獲れなかったし…)
豆知識・補足
チャプター「追跡」のリトル・ホープの幹線道路で「ティリー・ジョンソンの家」を発見できます。その庭に「破壊された像」があります。
この人物は、1858年に不可解な死を遂げた作家でテイラーにそっくりなことから、ターニャとテイラーの間に位置する時代の人物であることがわかります。
ちなみに彼女は1856年に書いた小説「Tract of the Tethered」で有名になりました。
チャプター「彷徨い」で発見出来る石の碑文。そこには「石を投げさせなさい」と書かれています。
このことについてはTwitterで触れたのですが、
実はこれ、聖書の引用なのです。
「あなたがたの中で罪のない者が、まずこの女に石を投げつけるがよい」
ヨハネの福音書第8章2節-11節
ゲーム内では「石を投げさせなさい」と訳されてありますが、
これは姦通罪で捕らえられた女性が石打ちの刑で処される際にイエスが言った言葉です。
※姦通罪とは結婚していながら他の男性と性的な関係を持った罪。この罪は死ぬまで大勢から石を投げつけられるという残酷な方法で処刑されます。
聖書において、未完成・不完全なことが罪であるという考えであるように、人はみな生きながらにして罪を犯している、そして誰しもが過ちや失敗をおかしてしまうという意味でもあります。
完ぺきな人などいないのだから、自分も罪や失敗を犯すように、他人の過ちを赦しなさいという意味でこの言葉が発せられたとされています。
「石を投げさせなさい」とは「赦しなさい」ということ
ワイマン判事
魔女裁判でカーヴァー牧師の助言をことごとく受け入れ、犠牲者を出す判決を下した結果となったワイマン判事。
彼は、カーヴァー牧師が黒幕であるとはいえ、子供であるメアリーの証言をあまりにも信じすぎてしまったことを後悔している内容の手紙を書いているように、ちゃんとした人でした(笑)
本編ではあまりにも非情に裁きを下していたので悪い人かと…
ちなみにこの手紙が落ちていたのはレイブンデン工場。
実はこの工場が建っている土地は、1692年当時ワイマン判事が住んでいた家が建っていました。
廃屋
最後にたどり着く廃屋。
大体の人はわかると思いますが、ここは1972年に火事になったクラーク家族の家です。
ようするにアンソニーの実家ですね。
中の家具の配置などは、プロローグでプレイしたあの時のままです。天井は崩落していますが…
家の中の探索で、子供の躾について書かれた「焼け焦げた本」からアンとジェームズがメーガンのことを悩んでいたことが窺えます。また、柱時計の中には鍵が隠されていて、これはメーガンがアンを風呂場に閉じ込めるために使ったものです。キッチンでは、メーガンが描いた絵が発見できるほか、ジェームズとアンの結婚写真も発見できます。
デニスが大切にしていたレコードを踏んで最後のフラッシュバックに移る演出なんかも個人的には好きです。
エンディング
エンディングは大きく分けて6パターンあります。
生存者あり①
アンドリュー以外に誰か生き残っていて、ヴィンセントに許してもらうパターン。
ダイナーの場所を教えてもらい、ダイナーにたどり着くとアンソニー自身の記憶に戻ります。
生存者あり②
アンドリュー以外に誰か生き残っていて、ヴィンセントに許してもらえないパターン。
本編でヴィンセントの扱いをないがしろにすると、このエンディングに。
怒ったヴィンセントは警察を呼び、アンソニーは逮捕されます。
生存者1人①
アンドリュー以外誰も生き残らずに、ヴィンセントに許してもらう、かつ銃を持っていないパターン。
廃屋を出たあとアンドリュー1人だけ生き残った場合です。
生存者1人②
アンドリュー以外誰も生き残らずに、ヴィンセントに許してもらう、メアリーを救う、かつ銃を持っている(弾が残っている)パターン。
自殺しようとするアンソニーをメーガンが踏みとどまらせてくれます。
※拳銃の弾の有無は未検証
生存者1人③
アンドリュー以外誰も生き残らずに、ヴィンセントに許してもらえないパターン。
怒ったヴィンセントが呼んだ警察にアンソニーは逮捕されます。
生存者なし
アンドリュー以外誰も生き残らずに、ヴィンセントに許してもらう、メアリーを有罪にする、かつ銃を持っている(弾が残っている)パターン。
自殺しようとするアンソニーを後押しするかのようにメアリーのおぞましい叫び声と共に引き金を引くエンド。
全員死亡です。
ちなみにマルチエンディングなので、シークレットエンドのようなものはありません。
全てが正当なエンディングです。
ネタバレありレビュー
ネタバレなしのレビューはすでに別記事で書いているので、ここではネタバレを含むレビューを簡単に。
ネタバレなしの方では悪かった点に書いていませんでしたが、個人的には大きなことだったのでここで。
前作マン・オブ・メダン同様、無料DLCで同じストーリーを進めながら別視点でプレイする「キュレーターズカット」が今作もあります。
しかし、リトル・ホープのキュレーターズカットをプレイしてみての感想は「必要なかった」でした。
このモードのウリは本編では見えなかった部分を別キャラクターを操作して時系列の空白部分を埋めていく楽しさというところにあります。
ですが、今作では二手に分かれた後、ほぼ同軸の時系列を追ってストーリーが進行しているため、ジョン・アンドリューたちの時間軸とダニエル・テイラーたちの時間軸が補完されてしまっています。
これが非常に勿体ない。
別視点に切り替わったところで、新たに分かった部分としてはプロローグでアンソニーの代わりにターニャをプレイすることでメーガンの普通じゃない様子を踏み入って見ることができたこと、博物館で閉じこめられたテイラーの様子が分かったこと、教会でダニエルとテイラーがフラッシュバックの際にデイビッドとどのような会話をしていたのか分かったこと、この程度です。
マンオブメダンでは、コンラッドがおばあちゃまに変貌したグラマーガールの悪魔(フリスの幻影)から逃げ続けるシーンを、フリス視点でプレイすることによって、見事に2つで1つのシーンとして再現されていました。当然、踏み入ったことのない場所での探索や、そこでしか発見できない秘密も追加されていて、プレイのし甲斐がありました。
ですが、今作は同行している同じメンバー間での別視点なので、当然空白の期間が語られることなく本編と同じ内容を延々とプレイさせれてしまう始末。挙句に秘密も絵もキュレーターズカットをプレイする必要がないという空気と化しています。
個人的な意見として、例えば単純に未公開箇所としてシーンを追加するのであれば、下水道へと連れ去られたアンジェラが皆と合流するまでの過程を隠しチャプターとして追加するとか、いくらでもあったと思います。
また、ジョンたちとダニエルたちの2つのグループに分かれた後、本編では片方のグループがリトル・ホープ博物館を訪れたチャプターだけにして、もう片方が博物館を訪れた様子はキュレーターズカットだけのチャプターにするとか、ダニエルたちが悪魔に襲われたあと警察署で合流するシーンなんかも、ダニエルたちの追われるシーンはキュレーターズカットのみに入れるとか、とにかく「この時、他のメンバーはどうしていたのか?」を知るためのモードなのではと思います。
もっと言えば、無料DLCなんかにせずクリア後にプレイ可能となる同梱版として標準搭載しておけば、2つのモードをプレイしてはじめて全貌が明らかになる、といった楽しみ方ができるのでさらに凝った作りにできるのではと思っているのですが、どうですかねSupermassive Gamesさん。お願いします!
もう一つの不満点としては、とにかく悪魔が現れて襲われるまでが長い!
魔女裁判との結び付けや、人物の関係性など前置きが必要なのは分かりますが、これぞホラゲーといった展開になるまでが長すぎて中だるみ感がすごいです。
と、ここまで不満を述べてきましたが、閉塞された空間での前作とはガラリと変えてきたリトル・ホープ。また違った雰囲気と恐怖とで楽しませてもらいました。
この低価格でここまで作り込んだスタッフたちにはリスペクトしかありません。
要所要所に仕込まれた小ネタや、設定の細かさ、実話のオマージュやクリア後の特典映像など、ホラー映画やこのゲームに対する愛と熱意が伝わってきます。
残り6作品、次作もガラリと変えてきて正直不安もありますが、良い意味で期待を裏切ってくれると願いながら、気長にリリースを待とうと思います。
ダークピクチャーズ第3弾・第4弾のヒント
キュレーターとの会話のシーンで興味深いところを見つけました。
彼が本棚から本を取り出すシーンで見られるこれらの本。
実はダークピクチャーズアンソロジーを表しています。
左から順に第1弾から第4弾までそれぞれを象徴する絵柄が背表紙に刻まれています。
ダークピクチャーズアンソロジー第3弾「灰の館」のジャケット
終わりに
いかがだったでしょうか?
今作はプレイする人によって、様々な受け止め方・想像の仕方があると思います。
ここに書いたことはあくまで私の個人的な見解なので、一つのゲーマーの意見としてとらえてください。
海外サイトでもさまざまな考え方があって、中には1690年代の人物たちまでもアンソニーの創造物ではないか?といった意見もありました。
オカルトというものが存在しない、現実的な考えであれば、そういう考えの方がしっくりきますしね(^^)
私の考えは呪い・魔術といったものが作用している前提なので、リアルなホラーのトリックとしてはダメですが、ゲーム的にはそういうファンタジーを持たせてもいいかなと。(特典映像より)
アンドリューたちを導く女の子ですが、アンソニーが自殺しようと銃を突きつけた時に思いとどまらせるため現れるのは、その女の子ではなくメーガンでした。
クラーク家の中で唯一、自分と向き合って、気にかけてくれた兄アンソニーに命を絶って欲しくなかったのでしょう。
「お兄ちゃんは悪くない」そう言ってるかのようでした。
メアリーは自分たちを救って欲しいという思いから、メーガンはアンソニーを救いたいという思いから、彼をここに導いたのだと思います。
実際にプレイしてみて、感じたことや、あの女の子は幽霊よ!といった皆さんの考察など、何でもいいのでコメントやメールを頂けると嬉しいです。
1周クリアした人も、ここでの知識を踏まえて2周目をプレイすると、発見出来る秘密の詳細な情報などがパズルのピースのように合わさって、1周目では分からなかったことも見えてきて、より楽しめると思います。
このシリーズのファンを増やすため、これからも頑張っていきます。